東雨宮関係

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ザンは、すぐさま院長にキャンプに興味がある事を話すと、次のキャンプに参加するよう手配してやると言ってくれた。
そして俺はお前たちと一緒にサマーキャンプに紛れ込んだ」
ザンは苦しそうにそう言った。
思い出したか?」
暖かいものに包まれて、心地よい気分で目が覚める。
葉月はふかふかのベッドの中で、敦の腕の中にいた。
朦朧としながらも、大好きな人の顔を見つめる。
あつし、さん?」
思い出したな」
えどうして、ここ、どこ?」
一緒にベッドにいることに動揺した様子で、葉月は敦の胸を押し返す。
落ち着け。別荘の部屋だよ。お前は廃校で倒れて、12年前の記憶を夢に見ていたはずだ。思い出したんだろ?」
ゆっくりとそう言われて、葉月は完全に覚醒する。
敦?」
そ。俺は32歳の敦。お前は26歳の葉月。」
ごめん、混乱してた」
なんだか無性に懐かしくなり、葉月は敦の体に抱きついた。葉月の髪を撫でながら、敦が話し始める。
俺はさ、何が起こっているのか知りたくて刑事になった。学生時代は監視されている可能性があるから、表立って調べたりしてなくて、お前の家にもお前にも近づかなかったんだ。公務員試験を受けて、警視庁に入った。で、しばらくバタバタしててさ。チームカナンのメンバーを調べたり、東雨宮関係のことを調べたり、お前に会いに行く暇もなかった」
葉月は耳に直接響いてくる敦の声が心地よくて、何も言わずに小さく頷きながら話を聞いていた。
迎えに行くっていったのに、9年もかかって、ごめんな」
葉月は首を振る。
あの時、俺は歩を追ってたんだ」
歩くんを?」
あいつさ、多分記憶の抹消、失敗してる。サマーキャンプのこと全部覚えてるんだ」
え?」
あのキャンプの後、立て続けに事件を起こしている」
事件?」
サマーキャンプの翌年に雨宮病院で個人情報流出事件。さらに翌年、雨宮製薬創立記念パーティー異物混入事件。すべて容疑者で、真犯人は雨宮宗一郎が仕立て上げた雨宮グループの社員だ。脅して買収したんだろう。で、その次の年、歩はドイツに留学する」
ピアノの留学だよね」



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