でのやり取りを思
あとは取り押さえて連行するだけだ。」
ザンが言いながら、テレビの前からPCの前に移動して今度はサイトの方を見ている。
葉月は何故か良い知れぬ不安を覚えてテレビの前に座り込んでいた。
再びカナンや東雨宮の説明を続けていたスタジオだったが、突然雨宮邸前の映像に切り替わった。
『こちら雨宮邸前です!たった今、爆発音が聞こえました!見てください!!』
記者が言うと、カメラが母屋の一部にズームして、そこから細い黒煙が上がっている。
そして、またドォンッ!と地に響くような爆発音がした。
『あ、今、また爆発音がしました!…またも母屋のようですが…』
『中で交渉にあたっていた警察や、被害者男性達の安否は確認できますか?雨宮源一郎氏による犯行でしょうか?!』
『まだ詳細は分かりかねますが…』
そのとき現場の映像が途切れた。
(…何が起きているの…?)
敦や栄太たちの安否が気になった。
それにしても何故、爆発なんてしたのだろう。
(どうしよう…)
先ほどの敦との電話でのやり取りを思い出す。
(あれが最期になったら、どうしたらいいの…)
自分は何も伝えていない。
敦が本当に一人になりたいなら、離婚も止むなしだと思っていた葉月。だが、もう二度と会えなくなるとは思っていなかった。突然のことで何も言えず、今日が終わってからゆっくり考えて、落ち着いて話し合いたいと思っていたのだ。
(それなのに…、敦に何かあったら…、私…)
伝えたい事がたくさんあったのに。
それを伝えられないままだったら、この先どうしたらいいのか。
おい」
真後ろからザンに肩をつかまれて、葉月は悲壮な表情で振り返る。
大丈夫だ」
どうして言い切れるの?2回も爆発したんだよ?!大丈夫なわけないじゃない!」
大丈夫だから…落ち着け…」
ザンは自分の不安を隠すように、しっかりと葉月を抱きすくめた。
広い胸に、力強い腕に包まれて、葉月は少し落ち着きを取り戻して涙を流す。
葉月…」